最近、パソコンのパーツショップや通販サイトを眺めていて、「え、メモリこんなに高かったっけ?」と、思わず二度見してしまったことはありませんか?
ほんの少し前までは、「DDR5もだいぶ安くなったな」「もう少し待てばさらに下がるだろう」そんな空気が確かにありました。
ところが今、現実はまったく違います。DDR5メモリは数ヶ月で2倍〜3倍、製品によってはそれ以上に高騰。
しかもこれは、一部の高級モデルだけの話ではありません。コスパ重視で選ばれてきたメモリですら、「在庫があれば即買い」と言われるほど、市場は異常な状態に突入しています。
「円安だから仕方ない」「一時的な品薄でしょ?」そう考えているなら、少し注意が必要です。今回のメモリ高騰は、これまでのいつもの値上がりとは性質がまったく違います。
その背景には、DDR5への世代交代、DDR4の生産終了、生成AIの爆発的な普及、そしてメーカーの戦略転換といった、世界規模の構造変化が複雑に絡み合っています。
つまりこれは、「待てば安くなる」が通用しなくなった時代の始まりとも言えるのです。
自作PCユーザーの方はもちろん、これからPCやスマホの買い替えを考えている方にとっても、「知らなかった」では済まされない内容になっています。
後悔しない選択をするために。まずは、今メモリ市場で何が起きているのか、一緒に確認していきましょう。
- なぜ今、メモリ(DDR5・DDR4・SSD)の価格が異常なほど高騰しているのか
- 2025年後半〜現在にかけて、実際にどれほど価格が上がっているのか(実データ付き)
- DDR5移行・DDR4生産終了・生成AI需要が価格に与えている影響
- 今回のメモリ高騰が「一時的」ではなく構造的な問題である理由
- メモリ価格はいつまで高いのか?2026年以降の現実的な予測
- PC・スマホ・タブレットの値上げにどう影響するのか
- 今後、私たちは「買う・待つ」のどちらを選ぶべきか
- メモリ高騰時代に後悔しないための考え方と判断基準

今回の記事では、メモリ価格が高騰している理由についてご紹介していくよ!
メモリ高騰はなぜ起きた?現状をわかりやすく解説

「最近、メモリ高すぎじゃない?」そう感じている方は、決して気のせいではありません。
今起きているメモリ高騰は、これまでのよくある値上がりとは次元が違うレベルです。
まず大前提として知っておいてほしいのは、今回のメモリ高騰は一時的な品薄や為替の影響だけで起きているものではない、という点です。
むしろ、世界規模でPC・スマホ・サーバー産業の構造そのものが変わった結果として起きている現象だと言えます。
これまでのメモリ価格は、「シリコンサイクル」と呼ばれる周期に沿って動いてきました。
- 需要が増える
- メーカーが増産する
- 供給過多になり価格が下がる
この繰り返しです。そのため自作PC界隈では、「メモリは待てば安くなる」というのが半ば常識でした。
しかし、2025年後半からの動きは完全にこの常識が崩れています。
- 値上がりのスピードが異常に速い
- 下がる気配がまったくない
- 在庫が値段より先に消える
これが、今回のメモリ高騰が「異常事態」と言われる理由です。
現在のメモリ市場では、以下のような現象が同時に発生しています。
- DDR5メモリが慢性的な供給不足
- DDR4メモリが生産終了に向かい入手困難
- SSD(NAND)も連動して価格上昇
- メーカーが増産したくてもできない状況
パーツショップや家電量販店では、「次の入荷価格が読めない」「入荷しても即完売」「価格を下げる理由がない」といった状態が常態化しています。
つまり、価格が上がっているから売れていないのではなく、売れるから価格が上がっているという、非常に危険な需給バランスになっているのです。
「どうせ円安でしょ?」と思われがちですが、それだけでは説明がつきません。
実際、ドル建てのメモリ価格(世界共通の指標)そのものが、2倍・3倍と急騰しています。
これはつまり、日本だけの問題ではなく、世界中で同じことが起きているということ。
為替はあくまで上乗せ要因にすぎず、根本原因は別のところにあります。
今回のメモリ高騰が特に厄介なのは、複数の問題が同時に重なったタイミングの悪さにあります。
- AI需要によるメモリの爆食い
- DDR5への世代交代
- DDR4の戦略的な生産終了
- 新工場がまだ稼働していない
これらが一気に重なったことで、供給が追いつかないまま需要だけが膨れ上がる状況になってしまいました。
ひとことで表すなら、今のメモリ市場は、「需要が止まらないのに、供給を増やせない構造的な高騰」です。
これは一過性のトラブルではなく、数年単位で続く可能性が高い時代の変わり目とも言えます。
グラフで見るメモリ価格の異常な変動

ここからは、感覚的な話ではなく、実際の販売価格データをもとに、今回のメモリ高騰がどれほど異常なのかを見ていきましょう。
| 商品名 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 現在 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CORSAIR iCUE DDR5-6200MHz | 27,710円 | 27,710円 | 31,221円 | 31,308円 | 47,836円 | 86,160円 |
| CFD DDR5-5600 16GB×2 | 14,121円 | 11,715円 | 11,836円 | 23,617円 | 56,800円 | 62,980円 |

まず8月から10月にかけての動きを見てみましょう。
| メーカー | 価格変動 |
|---|---|
| CORSAIR製 | 約2.7万円 → 約3.1万円 |
| CFD製 | 約1.1〜1.4万円で横ばい |
この時点では、「DDR5、少し高いな」「為替の影響かな?」と感じる程度で、まだ異常とは言えない範囲でした。
特にCFD製は9月〜10月にかけてむしろ値下がりしているのが分かります。
この頃までは、「待てば安くなる」という従来の常識がまだ通用していたのです。
しかし、11月に入った瞬間、グラフの傾きが明らかに変わります。
| メーカー | 価格変動 |
|---|---|
| CORSAIR製 | 約3.1万円 → 約4.7万円 |
| CFD製 | 約1.1万円台 → 約2.3万円 |
たった1ヶ月でほぼ倍近い上昇。ここからグラフは、なだらかな坂ではなく、急角度で上に跳ね始めます。
この時点で、店頭在庫が減少、次回入荷価格が未定、「今買わないとヤバい」という空気が一気に広がり始めました。
そして本当の異常は、ここからです。
| CORSAIR iCUE DDR5-6200MHz | CFD DDR5-5600 16GB×2 | |
|---|---|---|
| 11月 | 約31,000円 | 約23,617円 |
| 12月 | 約47,800円 | 約56,800円 |
| 現在 | 86,160円 | 62,980円 |
グラフにすると、12月以降はほぼ垂直に近いグラフになります。
メモリ高騰はいつまで続く?2026年以降の予測

ここまで「どれだけ価格が急騰しているか」を見てきましたが、読者の皆さんが一番知りたいのは、「この値段のままいつまで続くの?」という点ですよね。
結論を先に言うと、少なくとも2026年いっぱい、場合によっては2027年以降まで高騰・高値安定が続く可能性が高いとされています。
そして、単に高いままではなく、さらに上昇するリスクすらあるという見方も出ています。
複数の市場調査や業界レポートを見ると、以下のような予測が出ています。
2026年はまだ下がらない年と見るのが現実的
- 2025年の急騰は2026年も継続する可能性が高い
- 2026年前半〜中盤はさらに価格が上がる可能性あり
- 価格が元に戻るのはかなり先(2027年〜2028年)という見方も多数
市場関係者は次のように予想しています。
中期(2026〜2027年)も需給は緩和されにくい
実際に2026年の供給は増える見込みですが(2025比でプラス予想)、需要の伸び(より高い割合)に追いつかないという分析もあります。
これはつまり、供給が増えても価格を下押ししづらい構造ということです。
現実的には、次のような要素が揃わない限り、価格が明確に下がるのは難しいと見られています。
- 新規大型ファブの稼働(量産レベルで)
- AI向け需要が一段落(サイクル成熟など)
- DDR4在庫の正常化・世代在庫の過渡期終了
- 需要の予測可能性が戻る
| 期間 | 予想される動き |
|---|---|
| 2025年後半〜2026年初頭 | 高値安定〜さらに上昇リスクあり |
| 2026年前半〜中頃 | AI需要継続で上昇圧力強い |
| 2026年後半 | 高値安定/少し横ばい傾向(下がりにくい) |
| 2027年〜2028年 | 新供給反映で緩やかな価格低下が視野に |
まとめ|メモリ高騰は時代の変化として受け止める

ここまで見てきた通り、今回のメモリ高騰は、単なる一時的な値上がりや景気変動によるものではありません。
むしろこれは、私たちが「時代の転換点」に立っていることを示す現象だと言えます。
改めてポイントを整理すると、今回の高騰には次のような特徴があります。
- AI・データセンター需要による構造的な供給不足
- DDR5への世代移行とDDR4の生産終了が同時進行
- HBM優先生産による一般向けメモリの後回し
- 「待てば安くなる」という常識の崩壊
特に重要なのは、需要は今後も増え続けるのに、供給は簡単に増やせないという点です。これは過去のメモリバブルとは決定的に違います。
もちろん、消費者としては「高すぎる」「納得できない」と感じるのが正直なところでしょう。
しかし現実として、2026年も価格が大きく下がる可能性は低く、2027年以降まで高値が続く可能性が高いと見られています。
今回のメモリ高騰は、確かにお財布には厳しい出来事です。
しかし同時に、AIの進化、コンピューティング需要の拡大、テクノロジーの次のステージが本格的に始まったサインでもあります。
メモリ高騰は、時代が次のフェーズに進んだ証拠。そう受け止めた上で、私たち自身の選択を賢くアップデートしていくことが、これから何より大切になります。
この記事が、「いつ買うべきか」「どう判断すべきか」を考える一助になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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